【 生理検査について 】

生理検査とは、検査用医療機器を用いて、生体の機能や形態について情報を得るものです。その多くは体表に装置を当てるなどして検査をする、いわゆる非侵襲的検査で、検査の際に苦痛を伴うことはほとんどありません。

当院でも最新鋭の設備を備え、様々な検査を行っています。

【 超音波検査 】

 超音波により、体内の様子を画像として捉えることのできる検査です。体表にゼリーを塗り、その上から機器を当てて行います。

肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓などの腹部の様々な臓器や、甲状腺、乳腺、さらには頸動脈、腹部大動脈、下肢動脈・静脈などの血管の検査を行うことができます。また心臓の形や動きを観察し、心臓の機能を評価することもできます。

近年の機器の進歩もあり、大腸など消化管の観察も良好に行えるようになりました。急性虫垂炎や腸閉塞など、早急に治療が必要となる病気の診断にもとても有用です。

当院では2018年に新たに先進的技術を追加しており、システムの充実を図っています。

<肝臓の線維化や脂肪肝の程度の評価に威力を発揮~Shear Wave Elastography・ATI機能~>

ShearWaveElastographyは組織内を波が伝わる速度を計測することで、線維化などで生じた「硬さ」を客観的に知ることができる機能で、これまでは肝生検で組織を採取して調べるしかなかった組織性状についても、ある程度正確に推定できるようになりました。また、ATIは脂肪肝で見られる超音波の減衰の程度を数値で表現できる機能です。これらによって、慢性肝障害や脂肪肝の評価、脂肪肝の中でも注意が必要な状態の判別などがしやすくなります。

<乳腺検査に威力を発揮する“エラストグラフィ”>

エラストグラフィとは:組織の歪みを目に見える形で表現でき、“硬さ”の情報を色で表わしてくれる技術です(写真AB)。この技術の導入により、良性・悪性の判断の精度がさらに向上しました。 従来の超音波検査に組み込まれたもので、検査方法や検査時間は変わりません。

写真A:線維腺腫(良性腫瘍)

写真B:乳がん

 また、この技術は肝臓検査にも応用がなされ、前述のShearWaveElastographyとならんで、肝臓の線維化の程度(硬さ)の評価に有用です(写真C,D)

写真C:肝硬変

写真D:脂肪肝

<乳腺内などの微小石灰化を可視化する”micro pure”>

これまで視認が難しかった微細石灰化の検出が可能となりました。これにより、超音波検査の唯一とも言えた短所はほぼ補完され、もともと超音波検査の得意とする小腫瘤の検出能と併せて早期発見に威力を発揮します。


<微小血管の検出が可能な”SMI”>

微小血流の検出が可能な技術で、これまでは造影剤を用いるしかなかった微細血管の描出が、多くのケースで通常検査でも可能となりました。腫瘍内血流を描出することによりその良悪の鑑別や、炎症性腸疾患の炎症の度合い、関節リウマチの活動性の判定などに有用です。腸閉塞で手術が必要かどうかを判断するための腸管の細血管の血流評価にも役立っています。

尚、「造影動態」を観察することで判定可能となる、肝臓の腫瘍の診断などはこれまでどおり造影することでより詳細な判定がなされます。

潰瘍性大腸炎:粘膜・粘膜下層の血流増加を検出

 

絞扼性小腸閉塞 静脈絞扼時期:(早期)の判定に威力を発揮

 

<狭心症の検出に応用可能な2Dスペックルトラッキング>

心臓の動きのうち、視認しづらいレベルの変化を可視化する機能で、心筋の変形度合いを詳細に解析することによって、狭心症の診断の一助となります.


<管腔の中を歩いて観察しているような感覚でとらえる “Fly thru” 機能>

管腔臓器を内側から観察しているような画像を構築し、より分かりやすく示すことができます。現時点では適応可能な臓器が限られていますが、今後期待される技術です。


◆検査時の留意事項

腹部の検査の準備として、検査前は禁飲食とさせて頂いています。これは食事の影響により観察しづらい部位があるためです。甲状腺や乳腺、心臓、四肢血管など、腹部以外の検査では食事の影響はありません。

また、膀胱や前立腺、子宮・卵巣といった膀胱の近くにある部位の検査の際には、膀胱に尿を溜めた状態で検査をすることがあります。

【 心電図検査 】

心臓が活動する時の電気的な信号をとらえる検査で、通常は横になった状態で、胸、手首、足首に電極を装着して記録します。

不整脈や狭心症、心筋梗塞の診断に役立ちます。また、通常の心電図の他に、以下のようないくつかの種類の心電図検査があります。

◆Holter心電図(24時間心電図)検査
携帯型の小型の心電計を装着して、24時間過ごしていただく検査です。不整脈の診断や程度の判定、狭心症などの診断に役立ちます。

◆負荷心電図検査
運動を行って頂き、ある程度の負荷を心臓に与え、心電図を記録するものです。特に運動時に症状の現れる病気の診断にはとても有用です。

【 呼吸機能検査 】

肺の機能を調べる検査で、息を大きく吸ったり吐いたりして行います。実施の際には特に苦痛は伴いませんが、呼吸の能力をできる限り正しく評価するためには、受ける方ご自身にも頑張っていただかなければなりません。主として次のような検査を行います。

◆肺活量
肺に吸入できる空気の量を測定します。

◆努力性肺活量
吸える限りの空気を肺に溜め込み、これを一気に吐いて肺活量を測定します。これにより得られるデータは、肺の状態をよく反映していて、肺の病気の診断にとても有用です。

 

【終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査】

終夜睡眠ポリグラフ検査は体に種々のセンサーをつけて脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸状態やいびき・動脈血酸素飽和度などの生体の活動を一晩終夜にわたって測定する検査で、この検査により睡眠の状態を知りながら、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠・呼吸障害の診断が可能となります。当院ではコードレス型の最新の機種を導入し、検査中もトイレに行きやすいなどの利便性を向上しました。

【 ABI/PWV検査 】

腕と足の血圧を測り、脈波をとることで、血管の硬さや血圧のバランスを評価します。これにより、動脈硬化の進行具合や、血管に大きな狭窄や詰まりがないかなどを調べることができます。

【 脳波検査 】

頭皮に電極を装着して記録する検査で、脳が生ずる微弱な電気信号を、およそ100万倍に増幅して波形として記録します。電極を着けて横になり、リラックスした状態で検査を受けていただくことになります。心電図検査同様、全く痛みはありません。

この検査は、てんかん、脳血管障害、頭痛等の診断や治療の効果判定、あるいは脳の発育段階を知るのに有用です。

◆検査時の留意事項
・検査時間は約60分~90分です。
(睡眠の程度等、状況により変わります)
・検査時には眠っていただくことがあり、軽い寝不足の状態で
検査を受けていただきます。
・前日には洗髪し、当日は整髪料等はつけずに来院してください。

【(純音)聴力検査 】

多くの方が、健康診断などで受けられた経験のある、いわゆる“聞こえ”の検査です。耳にヘッドホンを装着し、音が聞こえたらボタンで知らせて頂くものです。“耳が遠い”という状態にもいくつかの原因があり、それを知る上で有用です。

【 聴性脳幹反応(ABR)検査 】

純音聴力検査と脳波検査が組み合わされた様な検査で、耳にはヘッドホン、頭皮には電極を装着して行います。耳からの音の刺激を与えて、脳波上に現れる反応を記録します。脳の機能評価や、意志表示の困難な患者様に対する聴力検査として有用です。

【 筋電図検査 】

筋肉が生ずる電気的な信号をとらえる検査で、通常、手や足を動かしたり力を入れたりして、その活動状態を電極を通して記録します。これは、神経や筋の病気の診断に有用です。
主に以下の検査を行います。

◆末梢神経伝導速度
皮膚の上から電気的な刺激を与え、誘発されて生ずる筋の電気信号を記録し、神径の“伝わる速さ”を計測します。

【 医療機器算定件数:超音波検査】

区分 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度
UCG 945件 778件 835件 907件
胸腹部 3,885件 3,756件 3,894件 3,599件
その他 1,601件 1,705件 1,489件 1,556件
人間ドック 988件 1,070件 1,065件 958件